市内で人家の周辺や社寺林等で7科10種の陸産貝類を見つけることができました。今回はその中で「でんでんむし」として親しみ深い「かたつむり」について触れてみます。 分類学上の名称は、軟体(なんたい)動物門―有肺亜綱( ゆうはいあこう)―柄眼目(へいがんもく)―オナジマイマイ科―イセノナミマイマイです。 1対の大きな触角(しょっかく)の先にはまるい目玉があり、光を感ずるようです。また、 1対の小さな触角は味やにおいを感じ、食べ物を見分けるようです。 かたつむりには、殻(から)があり外敵から身を守るものと考えられます。しかし、海の貝に比べ大変うすくやわらかいようです。これは軽くて移動するのには楽(らく)のようです。それより殻の大きな役目は乾燥から身を守ることだと思います。かたつむりは身の表面がぬれた状態でないと生きていけません。 繁殖(はんしょく)は5月初旬に交尾、雌雄(しゆう)同体で少ない出会いの機会を生かし、めぐり会えたら互いに交尾ができるような器官を備えています。そして6月頃、20~100個くらいの卵を産みます。卵は3週間くらいで孵化(ふか)し、幼体の時から食べ物を求めて移動し、かつ身を守る生活が始まります。
市史編集委員 浅井 常典